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『若冲』(澤田瞳子/文春文庫)





『若冲』(澤田瞳子/文春文庫/700円+税)

伊藤若冲好きのワタシとしては本屋で見つけた以上、買って読まざるを得なかった(笑)。

若冲については、江戸時代の京都錦市場の青物問屋の主人ながらさっさと隠居して絵を描いていたぐらいの知識。
本書末尾の解説によれば、正徳6年(1716年)生まれ、23歳で家督を継ぎ、40歳で弟に家督を譲って隠居、85歳で亡くなるまで絵を描き続けたとある。

生涯妻を娶らなかったとされるが、著者はお三輪という女性と若冲が結婚したと設定。若冲が絵に熱中したまま家業をおろそかにして周りから責められたお三輪が首吊り自殺。この事件で若冲は供養の意味を込めて絵を描くようになる。
一方でお三輪の弟(弁蔵)は若冲を恨み、若冲の偽絵を描き続ける。若冲もそれに対抗して絵の道を極めようとする。

悔恨と怨恨の連鎖がメインのストーリーとなるので、結構陰鬱な感じ。それが若冲の数々の名作の土台になっているというのが面白い。
また、晩年の「桝目描き」という手法は孫(といっても実は弁蔵の子)に絵を手伝わせるために編み出した手法という設定も面白い。

ストーリーのどの程度が史実に忠実なのかどうかわからないが、本書を読んで若冲の絵に対する見方が変わらざるを得ない。良いとか悪いとかではなく、なぜその絵が描かれたのかを深く考えさせられるだろう。


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No title

澤田瞳ファンなら、興福寺もお好きですよね。
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。

Re: No title

残念ながらワタシは『若冲』ファンであり、澤田瞳子ファンではありません。澤田瞳子の書籍は『若冲』が初めて読む本。
とはいえ、せっかくの御紹介なので、機会があれば読んでみたいと思います。
コメントありがとうございました。
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竹千代55

Author:竹千代55
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