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『知らないと恥をかく世界の大問題11』(池上彰/角川新書)



『知らないと恥をかく世界の大問題11』(池上彰/角川新書/900円+税)

タイトルに惹かれてとりあえず買ってみた。内容は・・・

プロローグ:二極化する世界、深刻化する世界の大問題
第 1 章:トランプ再選はあるのか? アメリカのいま
第 2 章:イギリスEU離脱。欧州の分断と巻き返し?
第 3 章:アメリカが関心を失い、混乱する中東
第 4 章:一触即発、火種だらけの東アジア
第 5 章:グローバル時代の世界の見えない敵
第 6 章:問題山積の日本に、ぐらつく政権
エピローグ:2020年の風をどう読むか

となっている。2020年6月10日初版発行となっていて、黒川検事長の定年延長問題や新型コロナによる世界情勢の変化など、かなり最新の話題までを取り上げている。
本書では南アメリカの情勢については触れられていないけれど、概ね世界全体の情勢についてを紹介している。最新情報を紹介しながらも歴史的背景を解説しているところがヨイ。

安倍政権に対しては森友学園問題・加計学園問題・桜を見る会問題など、結構辛辣な批判コメントをしているが、大丈夫なのか?(笑)。 



 


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『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人/新潮文庫)





『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人/新潮文庫/2019年(単行本2016年)/590円+税)

一時期、テレビのバラエティ番組で取り上げられていた東京藝大。たぶんこの本が元で取り上げられたのではないかと思う。

そもそもは小説家の著者が編集者に「妻が藝大生(学生結婚)で面白い」と話したところ、「それ、本にしましょう」と言われたことがきっかけ。
取材は妻の知り合いからその知り合い、そのまた知り合いとツテを広げていってインタビューしたもの。

東京藝大は「芸術界の東大」と言われ、日本の芸術系大学の頂点とされる。が、その実態は学部・専攻によりかなり差があり、大学運営をはじめ、個々の学生たちがかなり特殊でバラエティに富んでいることを本書が示している。

東京藝大は上野駅を背にして右が美術部(美校)、左が音楽部(音校)と分かれている。美校に入っていく学生は全く服装に構わないか、自己主張の過激な服装。一方、音校のほうはモデルか芸能人かというようなシュッとした(関西人的表現。笑)格好・スタイルの学生ばかりのよう。音楽家は自分自身がひとに見られる職業なので、普段からそのような身のこなしを身につけているそう。

少数精鋭の東京藝大だが、美校はどちらかというと放任主義、音校は師匠(先生)と弟子の関係に近いらしい。
それに関連し、音校は時間に厳しく、美校はルーズ。音校のある専攻では授業の30分前に教室に入り、機材などの準備。余裕があればウォーミングアップ練習。一方の美校は教授でさえ時間をあまり守らず、ある教授会に定刻に来ていたのは一人だけ(笑)。

著者は音校・美校のいろいろな専攻の学生たちにインタビューしていて、一般大学の一般学生とは違う生態や考え方を聞き出している。

ただ、芸術界の東大ではあるが、1学年500名弱の卒業生のうち、就職するのが1割、大学院進学・留学するのが4割、そして「進路未定・他」が半数に及ぶという。

また、インタビューだけでなく、「藝大祭」のレポートがあったり、文庫版の巻末には東京藝大学長とのインタビュー(会話形式)があったり。「はじめに」と「あとがき」では、本書を執筆する発端となった著者の妻とのやりとりが描かれていて、東京藝大を多面的にうまく紹介している。 





  

 


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『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎文庫) 





『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎文庫/2017年(文庫2020年)/750円+税)

またまた原田マハもの。一度興味を持ったら深掘りしてしまうのがワタシのクセ。さらに読み出したら一気に読んでしまわないと気が済まないのもワタシのクセ(笑)。
そんなワケで、1日で読んでしまいました。

これは面白かった!

印象派とジャポニスムが台頭した19世紀末のパリでのゴッホと弟のテオ、2人と関係する日本美術商の林忠正とその部下 加納重吉を中心とした物語。

この小説はフィクションなのだけれど、元美術館キュレーターの原田マハが書いただけあって、史実に齟齬はほとんどないらしい。巻末の解説で大阪大学教授・美術史家の圀府寺 司 氏がお墨付きを与えている。
ただ、ゴッホがアルル滞在時にはテオにたくさんの手紙を送っていて細かな事実が確定しているけれど、それ以前にテオと過ごしたパリ時代には資料が少なく、不明な点も多いらしい。

圀府寺氏が言うには、原田マハはまさにその空白部分を利用して、『たゆたえども沈まず』というフィクションを作り上げたのだと言う。
圀府寺氏によれば、ゴッホ、テオ、林忠正は実在の人物だが、加納重吉は架空の人物。また、林とゴッホは同時代に生きていたことは確かで面識があった可能性は否定できないが、本作ではかなり近しい関係として描かれている。
そしてフィクションゆえに大胆に、生き生きと19世紀末のパリで生きる彼らを描いている。

本作で描かれている19世紀末のパリは、ようやく印象派の画家が現れたところで、伝統的な画壇や画廊からは非難されていた。一方、開国した日本からもたらされた浮世絵は流行好きなパリのブルジョワたちにもてはやされていた。そのような状況でゴッホ、テオ、林、加納が出会ってパリの美術界で生きていく様が描かれている。

登場人物の服飾の描写も結構こだわっており、フロックコートや燕尾服、ホワイトタイにシルクハットなど、今では絶滅寸前の服装で当時のパリジャンは街を闊歩していたようだ。

どうしてもゴッホの耳切り事件や、精神疾患、最後にはピストルで自殺するというところが書きしるさざるを得ないので、表現が重たくなってしまうところは致し方ないが、いずれゴッホの絵が世に認められるであろうという雰囲気で上手くまとめられている。






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『まぐだら屋のマリア』(原田マハ/幻冬舎文庫)



『まぐだら屋のマリア』(原田マハ/幻冬舎文庫/2011年/690円+税)

『風神雷神 Juppiter, Aeolus(上・下)』(PHP研究所/各1,800円+税)があまりにも面白かったので、同じ著者の作品を買ってみた。

『まぐだら屋のマリア』はキリスト教における聖人の一人、マグダラのマリアをモチーフにしていることが明らか。
重要な登場人物、有馬りあのあだ名がマリアという設定。
ほかに与羽(よはね)という人物も出てくる。
マリアが切り盛りする「まぐだら屋」の「まぐだら」はマグロとタラを合わせたような怪魚という設定。
こんな感じで、ネーミングにちょっとやり過ぎな感は否めない(笑)。

それはさておき、主人公の紫紋は東京・神楽坂の超有名老舗料亭の見習い料理人だったが、食品偽装や使い回しという(どこかで聞いたような)事件に巻き込まれ、後輩が自殺。その自殺には自分に責任があると感じた紫紋も自殺場所を探して見知らぬ土地で「まぐだら屋」のマリアに出会う。

料亭の食品偽装や使い回しを内部告発したことで、結局告発した側がみな不幸になってしまう。
また、マリアにも一生十字架を背負わなければならない過去がある。
そんなこんなで物語が進むのだが、ワタシ的にはあまりスッキリしない読後感。

ただ、紫紋が見習い修行で培った技術で丁寧な料理を作るシーンの描写や紫紋の母が作ったぬか漬けや凍み大根を回想するシーンなどは味わい深く読んだ。






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『風神雷神 Juppiter, Aeolus(上・下)』(原田マハ/PHP研究所)

 




『風神雷神 Juppiter, Aeolus(上・下)』(原田マハ/PHP研究所/各1,800円+税)。 

本屋の店頭で見て即買い。俵屋宗達の『風神雷神図屏風』が大好きなワタシとしては、買わざるを得なかった。ちなみに作者の原田マハ氏のことは全く存じ上げず(笑)。
上下巻とも300ページを超える厚さなので、読み始めるまでちょっと躊躇してしまったが、読み始めたら引き込まれてしまい、2日で読み切ってしまった。

俵屋宗達は1570年代から1640年代あたりに生きたとされるがその生涯は謎に包まれているとされる。それをいいことに作者の原田マハ氏はとんでもない物語を作ってしまった!

プロローグは20XX年の現代。京都国立博物館研究員の望月彩にマカオ博物館の学芸員、レイモンド・ウォンが「風神雷神」が描かれた西洋絵画と、天正遣欧少年使節の一員・原マルティノの署名が残る古文書を見せたところから始まり、本章では一気に安土桃山時代へ。

原田マハ氏はこの小説で宗達を若くしてあの織田信長に謁見させ、その場で象の絵を描かせる。
のちに宗達を狩野永徳の助手として2枚目の『洛中洛外図屏風』(『安土城之図』?)を描かせる
さらにはその絵をローマ教皇に献上させるため、天正遣欧使節に宗達を同行させ、つまりはローマまで行かせるという奇想天外・クリビツテンギョウ(びっくり仰天)なストーリー(笑)。

ずぶといというか飄々とした宗達が少年使節の4人や宣教師ヴァリニャーノたちとの関わりでキリスト教について考えを深める過程あるいは神を信じる彼らの信仰の深さがなかなか興味深い。

また、ローマ教皇に謁見して日本に戻る途中のミラノで出会った少年カラバッジョとの友情。そして本章のエンディングが清々しい。
エピローグではまた現代に戻るが、余韻を残す見事な終わり方。



なお、プロローグで京都国立博物館研究員の望月彩は「琳派の幾人に描かれた『風神雷神図屏風』の中でも元祖・俵屋宗達の作が抜きん出ている。なぜならば、宗達の画は風神も雷神も端が切れているが故に動きと奥行きがある」と解説。まさにワタシが常日頃思っていたことを代弁してくれているようでウレシイ。

ちなみにワタシは宗達の『風神雷神図屏風』の実物を2回観たことがある。いずれも東京国立博物館だったと思う。1回目は宗達の作を単独で、2回目は『琳派展』でほかの尾形光琳作や酒井抱一作などと一緒に展示されていたとき。なんといっても宗達作が筆に勢いがあって大らか。風神・雷神の表情も飄々としていてどこかユニークだった。



そんなワケで、美術好きの方、とりわけ俵屋宗達ファンの方には超・オススメの2冊(ちょっと値は張るけど)。 



 


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