『居酒屋ぼったくり』第7巻(秋川滝美 著/アルファポリス)





『居酒屋ぼったくり』第7巻(秋川滝美 著/アルファポリス/1,200円+税)

アルファポリス:『居酒屋ぼったくり』特設サイト



東京下町の商店街にある「居酒屋ぼったくり」を切り盛りする美音(みね)を中心に起こる小さな、あるいは大きな事件を料理や酒をからめながら展開される小説の第7巻。

今回出てくる料理と酒は・・・

「紫煙の漂う先」
・しめ鯖 ・鯖のオランダ煮 ・豆腐とナメコの赤だし味噌汁
『飛露喜 特別純米』合資会社廣木酒造本店(福島県)

「大人だからこそ」
・中身汁 ・ホルモンうどん ・油味噌
『独歩 マスカットピルス/ピーチピルス』宮下酒造株式会社(岡山県)
『朝日30度』朝日酒造株式会社(鹿児島県)
『琉球泡盛 島唄 黒』まさひろ酒造株式会社(沖縄県)

「笑顔にできなかった客」
・鶏肉のホワイトソース煮込み ・贅沢茶漬け
『春鹿 発泡純米酒 ときめき』株式会社今西清兵衛商店(奈良県)
『田沢湖ビール ピルスナー』株式会社わらび座

「ぼったくり危機一髪」
・大根スープ ・ちくわの炒り煮 ・青紫蘇とちりめんじゃこのおにぎり
『伯楽星 純米吟醸 おりがらみ生酒』株式会社新澤醸造店(宮城県)

「病の防ぎ方」
・スコッチエッグ(早いほう・遅いほう) ・コロッケパン
『アサヒ スーパードライブラック』『グレン グラント 10年』アサヒビール株式会社(東京都)


それぞれストーリーに料理がうまく入っている(あるいは料理が中心にストーリーが展開する)ので、なかなか楽しく読めたが、一番印象的だったのが「鶏肉のホワイトソース煮込み」。シチューはおかずか汁物か論争(笑)。
ワタシが思うに、著者も昨年12月に販売となった松屋「鶏と白菜のクリームシチュー定食」に味噌汁がついていてテレビでも話題になったことをヒントにしているのではないか、と。
物語ではシチューかけご飯がアリかナシかの論争にもなっており、なかなか面白かった。






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小説『等伯(上・下)』(安部龍太郎/文春文庫)


 



久しぶりに読んだ長編小説『等伯(上・下)』(安部龍太郎/文春文庫/各700円+税)

安土桃山時代に活躍した長谷川等伯の波乱万丈の人生を描いたもので、本作は直木賞を受賞しているそうだが、ワタシは単純に絵師としての長谷川等伯がどんな人だったのかを知りたくて手に取った次第。

等伯の代表作は何と言っても国宝『松林図屏風』だが、ワタシも東京国立博物館で実物を見たことがある。本書では下巻の最後のほうに出てくる。
ほかに『十二天図』『日堯上人像』なども本作品中で大きく取り上げられている。

長谷川等伯は安土桃山時代を代表する絵師とはいえ、一介の絵師。なのに文庫本2冊にしたためられるほどの激動の人生を送っている。当然、著者の大幅な脚色があるのだろうが、一方で著者は物語の端々で色々な文献を紹介しているので、さすがに史実を大幅に逸脱しているとは考えづらい。それゆえに、物語に非常に惹き込まれながらも、どこまでが事実でどこからが脚色かをつねに疑念に持ちながら読み進んでしまった(笑)。

Wikipedia:長谷川等伯



歴史小説なのでやたら色んな歴史上の人物が登場するが、コミック『信長のシェフ』で親しんでいるので(笑)、ある程度は理解できた。でなければ、高校で日本史を取っていたワタシでも厳しかったかも。

ちなみに『信長のシェフ』では織田信長がわりあいイイ感じに描かれており、一方、日蓮宗の顕如は狡猾な悪者に描かれているが、『等伯』では日蓮宗は善者としてまったく逆(笑)。信長は「第六天の魔王」として非道の限りを尽くしており、豊臣秀吉の部下の石田三成も謀略を巡らす悪者として描かれている。
また、等伯のライバルとして描かれている狩野永徳は『信長のシェフ』ではしたたかなところもあるものの、結果的には好意的な印象を持つように描かれている一方、『等伯』では、天才的な才能を持つ絵師でありながら、政治的謀略をめぐらす悪者的なイメージで描かれている。
なお、豊臣秀吉は等伯とも親交のあった千利休を斬首するが、わりあいニュートラルに描かれている。



 




『和樂』2017年04・05月号「茶の湯★レボリューション」






今さらながら、『和樂』2017年04・05月号「茶の湯レボリューション」(1,500円/小学館)



前号はウチの近所の書店で見つけて購入したのだが、本号はウチの近所の2店では売っておらず、やむなくアマゾンで購入することに。



今回の特別付録“和ごころ” お花見セットということで、
・懐紙 『若冲画譜 山桜』(10枚ぐらい?)
・コースター『冨嶽三十六景 凱風快晴(赤富士)』(1枚)
・コースター『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』(1枚)
正直、コースターを「煎茶の翠が映える白磁の茶碗や、ぬくもりのある土ものの湯呑み、あるいはグラスを置いてもGOOD SENSE !」(本文より)とは思わんが(笑)。
まぁ、北斎好き、浮世絵好きの知り合いにお茶を出すときにはハナシのタネにはなるかも。
懐紙のほうは、いろいろ用途はありそうだ。サイアク鼻擤みにはなるだろう(笑)。
とはいえ、このテの付録ってどれぐらいの人が使っているのだろう。ワタシはなんかもったいなくて使えない。

・・・と、こんなことを書いていたら、『和樂』編集長の対談が・・・。

クラシコムジャーナル:バカバカしさだけが人々を熱狂させるコンテンツになる!『和樂』編集長 高木史郎 ×「北欧、暮らしの道具店」代表 青木耕平 対談前編

これを読むと、『和樂』編集部のオマケへのコダワリをはじめ、本誌をいかに愉しんで編集しているかが分かるので、ぜひ一読を。



さて、巻頭大特集「茶の湯レボリューション」

「名茶碗 vs 世界のアート 十番勝負」
曜変天目茶碗とゴッホの『星月夜』を比較したり、長次郎の黒楽茶碗とフェルメールの『真珠の耳飾の少女』を比較したり。ほかには古田織部の茶碗とピカソ『泣く女』、野々村仁清『色絵鱗波文茶碗』とクリムト『接吻』など。
これらの組み合わせがなかなかオモシロイ。

続いて「利休の革命」
5つの革命を紹介している。
一、唐物の高貴で華やかな輝きを削ぎ落とした
二、なんと! 魚籠を花入に見立てた
三、わび茶を楽しむシステムを確立
四、茶の湯の趣向を禅に託す
五、好みの形がブランドになった
が、よく読むと、ちょっと無理くり感がなくもない。
利休の前には村田珠光、武野紹鴎がおり、本誌の茶の湯革命ヒストリーを読むだけでも利休の革命とするにはどうかという疑問符がつく。本誌記事のどこがどこまで正しいかは分からないが、5つの革命はセレクトが間違っているような・・・(笑)。

「日本美の神髄! 茶室の大研究」
「茶の湯 550年の革命史」
「茶の湯ライフで毎日の幸せ革命」
「国宝級の名碗が一堂に! 2017春の「茶の湯」展覧会速報」
「これが細川護煕流、お茶の愉しみ方です」


と続く。茶の湯の流れを学ぶにはいいかもしれないけれど、そもそも茶道のオーソドックスな作法の紹介がなかったことと、現代人(特にワタシのような庶民)が茶道をどう採り入れるかについてのアドバイス的なものがないところが残念。そもそも大名レベルがたしなんだ茶の湯を庶民が真似すること自体がやや問題アリなのか。いまの日本は身分/階級制度が一応なくなっているので微妙なところだが、やはりそれなりに何らかの格差はあると思う。

なお、元内閣総理大臣の細川護煕氏、首相にするにはもったいないほどの粋人のようで(笑)。自筆の書の写真もあるが、達筆(だと思う)。



「絶景鉄道でGO!」

「桜の絶景鉄道6番勝負」
「全国絶景鉄道ベスト5」
とあり、なかなか見事な写真がいっぱい。



「GYOSAI, the Great!」

「ゴールドマン・コレクション これぞ暁斎!」展のコラボ企画。
河鍋暁斎は「幼少期に歌川国芳に入門した後、狩野派に学び、19歳の若さで一躍、頭角を現しました。流派に囚われず、あらゆる技法を駆使した筆力の鋭さは、あの伊藤若冲に匹敵すると昨今、鋭い注目を集めています。ここでは、そんな河鍋暁斎の知られざる画業を独特のユーモアに彩られた名作からひもときます。」とある。
掲載されている絵を見ると、擬人化した動物もあれば、当時最新の汽車もある。繊細緻密な絵もあれば、大胆で勢いのあるシンプルな筆致の絵もあり、多彩。



こんな感じで本号もなかなか興味深い内容デシタ。






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『和樂』2017年2・3月号 「2017年 国宝イヤーがやってきた!」



『和樂』2017年2・3月号(小学館/1,500円)

『和樂』はワタシの購入できる価格にゼロが1つもしくは2つ余分についた時計の特集や広告が掲載されているような雑誌なので(笑)、普段買うことはないけれど、本号は美術特集号ということで購入。
表紙は『洛中洛外図屏風』(狩野永徳)を部分使用しているが、金の特色を使っていてピッカピカ!





新春特別付録1.ニッポンの国宝 名画カレンダー
表紙・裏表紙は『鳥獣人物戯画』。やはり金の特色を使っている上に蛙や兎の部分にはニス塗りしていて豪華。カネかけてます(笑)。ワタシ的には
2月:『紅白梅図屏風』(尾形光琳)
5月:『燕子花図屏風』(尾形光琳)
12月:『松林図屏風』(長谷川等伯)
が好み。





新春特別付録2.国宝仏像メッセージ付箋
新薬師寺『十二神将伐折羅大将像』をレイアウトしたポストイット。
命令的な内容の伝言では威圧的だし、お願いの伝言ではミスマッチ。この仏像はミスチョイスでは?(笑)。



「初春、ほころぶ梅を待ちわびて」
梅に関する絵・工芸品・和歌などが紹介されているが、気になったところが。
藤原道真の歌で「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」とあるが、
「東風(こち)吹かば 匂ひをこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」が正しいのではないか?
ワタシは高校の古文の授業で な〜そ=否定 の例として覚えたような記憶がある。



新年大特集「2017年 国宝イヤーがやってきた!」
・国宝Q&A
・知られざる国宝7つの物語
・運慶!快慶!慶派の物語
・ザ・国宝対決! 日本 vs 世界
・2017国宝イヤーを彩る四大美術展案内
・和樂的「国宝ライフ」のすすめ
・みうらじゅんさんに聞く “ボク宝” 的国宝の楽しみ方指南

全体的にくだけた感じで美術シロートにも読みやすい感じ。特に面白かったのが「知られざる国宝7つの物語」のコピー。
1.涙の修復リクエスト ← 『涙のリクエスト』(チェッカーズ/1984年)
2.観音たちのララバイ ← 『聖母(マドンナ)たちのララバイ』(岩崎宏美/1982年)
3.アイムソーリー佐理ソーリー ← 「アイムソーリー髭ソーリー」(昭和の流行語)
4.『刀剣乱舞』仁義なき戦い ← 『仁義なき戦い』(ノンフィクション/1972年)『仁義なき戦い』(映画/1973年)
5.キンキラキンにさりげなく ← 『ギンギラギンにさりげなく』(近藤真彦/1981年)
6.燃えろ!いい国宝 ← 『燃えろいい女』(世良公則&ツイスト/1979年)
7.くじゃくに乗った少年? ← 『イルカに乗った少年』(城みちる/1973年)

コピー考えたのはワタシと同じ中年の方なのでしょうなぁ(笑)。いま20〜30代の方々にはぜんぜん響かない(爆)。まぁ、『和樂』は中高年対象だろうから、ワタシ以外にもウケていると想像。


ほかに本号では
「あたらしい金沢 Best 30」
「招き猫の大研究」

という特集もありマス。






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『校閲ガール トルネード』(宮木あや子/KADOKAWA)





『校閲ガール トルネード』(宮木あや子/KADOKAWA/1,300円+税)


『校閲ガール』シリーズの3巻目。10月27日の発売日に近所の書店を3つ回ったのだが、「入っていないですねぇ」とか「入荷予定はありません」などと言われてガックリ。いずれもチェーン店でそれなりに広い店舗だったのだけれど・・・。これではアマゾンが伸びるわけだ。
仕方なく自宅に戻ってアマゾンでクリック。翌日の今朝届いて早速一気読み!

2巻目の『校閲ガール ア・ラ・モード』では1巻目の『校閲ガール』のサイドストーリー的な内容で、脇役にスポットを当てていて、メインのストーリーが全然進まなかったけれど(笑)、本作ではストーリーが大きく動く。
主役の河野悦子と一目惚れされた是永是之(これながこれゆき)はゴールデンウィークに軽井沢にお泊まり旅行。とはいえ、小説ゆえにスムーズにコトが進むはずもなく、いろんなすったもんだが。
さらに仕事面でも大きな展開が。あまり細かいストーリーを書くのはネタバレとなるので控えるが、後半、ストーリーが大きく大きく動く。河野悦子の心理面も大転換する結果に。

一気に読んだが、とにかく面白かった! 早く続きが読みたい!!

TVドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』もメチャクチャ面白いが、小説も面白い。



   


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