『100円のコーラを1000円で売る方法』1・2巻(永井孝尚/中経出版)
(コーラ缶/瓶部分が黒いのは光沢印刷が正しく読み込めなかったためで、本当は赤色)
本屋でたまたま見つけて購入した2冊、『100円のコーラを1000円で売る方法』1・2巻(永井孝尚/中経出版/各1,400円+税)。
ビジネス書のコーナーで見つけて、タイトルに惹き付けられたのだけれど、パラパラめくると通常のビジネス書と違ってストーリー仕立てになっているのが気に入って購入。
ストーリーは、業界第3位の会計ソフト会社/駒沢商会のイケイケ型営業/宮前久美が商品企画部に異動となり、マーケティングのイロハは学びながら新商品を企画し、業界第1位のバリューマックス社販売していくというもの(もちろんフィクション)。
各章で具体的なマーケティング事例と理論も紹介されており、巻末に簡潔にまとめられている。
第1巻で紹介されているのは・・・
Round 1 アメリカの鉄道会社はなぜ衰退したのか?
理論:市場志向の事業定義
Round 2 「お客さんの言いなりの商品」は売れない?
理論:顧客絶対主義の落とし穴
Round 3 顧客の要望に100%応えても0点
理論:顧客満足のメカニズム
Round 4 値引きの作法
理論:マーケットチャレンジャーの戦略
理論:価格設定におけるコストの評価
理論:コストのリーダーシップ
Round 5 キシリトールガムがヒットした理由
理論:バリュープロポジションの定義
理論:ブルーオーシャン戦略
Round 6 スキンケア商品を売り込まないエステサロン
理論:競争優位に立つためのポジショニング
Round 7 商品を自社で売る必要はない
理論:流通チャネルの構造と、チャネル設計に関する意思決定
理論:チャネル戦略の基本は、相互補完とWin-Win関係の構築
Round 8 100円のコーラを1000円で売る方法
理論:値引きの怖さ
理論:エブリデー・ロープライス(EDLP)戦略
Round 9 なぜ省エネルックは失敗してクールビズは成功したのか
理論:コミュニケーションの戦略的一貫性
Round 10 新商品は必ず売れない?
理論:イノベーター理論とキャズム理論
延長戦 さらにマーケティングを学びたい人のために
分類:考え方を学ぶ
分類:事例から学ぶ
第2巻では
1st Match 業績悪化の真犯人は誰だ?
理論:失敗する理由
2nd Match なぜマクドナルドはリーダーであり続けるのか
理論:強者の戦略
3rd Match 実験は「結論」からはじめろ
理論:PDCAと仮説検証
4th Match “あらゆる事態” にそなえるな
理論:網羅思考と論点思考
5th Match 「平等から公平へ」シフトしたパナソニック
理論:仮説思考・論点思考への実際
6th Match マツダがガソリン車でハイブリッド車に対抗できた理由
理論:弱者の戦い方
7th Match ローコストキャリアが大手航空会社に勝つ方法
理論:弱者の戦略・差別化戦略
8th Match 「1+1+1=3」を超えるチームづくり
理論:創発戦略
9th Match 撤退する勇気
理論:トレードオフの判断
10th Match 社員14人で業界シェア80%を握るコミーの戦略
理論:戦略の深化
ずらずらと並べてしまったが、見出しでわかるように、キシリトールガムとか、マツダの例とか、ローコストキャリアとか、かなり新しいトピックが取り入れられていて興味深い。また、参考文献も記載されているので、より深く学びたいときの一助にもなる。
そんなワケで、マーケティングの基礎を学ぶとっかかりには最適の本かと。なお、ストーリーの流れからすると第3巻も予定されているのかも(笑)。
ただ、筆者は現在の日本企業の業績低迷に危機感を抱いていて、言ってみれば日本企業の戦略ミスを嘆いているようだ。筆者は第1巻のあとがきでは日本企業は「顧客の言うことは何でも引き受ける」顧客中心主義を見直し、「顧客の課題に対して、自社ならではの価値を徹底的に考え、提供する」べきだと説いている。
さらにはサムスンが強者、パナソニックやソニーなどはすでに弱者であり、弱者の戦略をとるべきだと言っているようだ(そこまで明言はしていないけれど)。
ちょっとそのあたりが悲しいけれど、地元の三重県亀山工場を擁するシャープが経営上厳しくなっているとか、経営が厳しくなったパナソニックがバドミントン部やバスケット部を休部にする事態にまで至るとなると、他人事ではなくなってきている。経営者はしっかりと「経営責任」を感じながら経営して欲しいところである。
100円のコーラを1000円で売る方法 (2011/11/29) 永井 孝尚 商品詳細を見る |
100円のコーラを1000円で売る方法2 (2012/09/06) 永井 孝尚 商品詳細を見る |
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