東洋経済オンラインのキヤノン一眼レフ不良事故多発の記事について

東洋経済オンラインでキヤノンの一眼レフで不良事故が多発しているとの記事が。

キヤノンの一眼レフで不良事故が多発する理由、製造請負依存の死角(上)
キヤノンの一眼レフで不良事故が多発する理由、製造請負依存の死角(下)

自分がキヤノンの一眼レフを使っているだけに興味深く読んだのだが、バイアスのかかった内容にちょっとがっかりした。

上記の記事についてコメントをする前に、自分の立場を明確にしておきたい。
●自分は30年以上のキヤノンユーザーである。なのでキヤノンびいきのところは明らかにある。
●歴代の製品、個々の新製品について、素晴らしい製品を発売している一方、私がキヤノンは発行した『EF LENS WORK』(II やIIIではなく I )という本をキヤノンのサービスセンターで閲覧しようと思ったらどのサービスセンターにもないということで、キヤノンの自社製品の歴史に対する姿勢をかいま見てがっかりし、以降、そのレベルのメーカーであるという認識を持っている。
●2008年末のリーマンショック以降のキヤノンの雇用に対する対処については不満を感じている。

まぁ、そのようなスタンスなのだが、今後キヤノンから自分の期待に沿う新製品が発売されれば購入を検討すると思う。

さて、東洋経済オンラインの記事内容だが、キヤノンの工場関係者やキヤノンユーザーのプロカメラマンなどから取材した内容はそれぞれ事実なのであろう。ただ、記事は事実の羅列で終わっておらず、当然、記者の見方が加わっている。それ自体は悪いことではないし、それがないものは単なる情報でしかない。
とはいえ、今回の記事はちょっと見方がおかしいと感じざるを得ない。

筆者はキヤノンの一眼レフの不良をいくつか取り上げているが、なかでもプロのカメラマンが愛用するキヤノン「EOS 5D」のシャッターを切っていて、前触れもなく急にファインダーの視界が真っ暗になったトラブルの一事例を「血の気の引く“恐怖体験”」と表現している。
さらに続けて、「「仕事中に、エライことをしてくれたなという感じですよ」。Aさんは憤りを隠さない。同じカメラマン仲間には、今年初めに「5D」を購入し、使い始めた途端にミラーが外れてしまった例もあるという。「プロのカメラマンにとって、撮影中にカメラが動かなくなることが、どういうことを意味するか」――。憤ると同時にキヤノンへの信頼を失ってしまったという。」と綴っている。しかしながら、本当のプロであれば、常に機材の故障には留意して、予備カメラの1台や2台は準備しているはずである。なので、この書きぶりはちょっと誇張されていると思わざるを得ない。もちろん、1回の撮影で予備のカメラも立て続けに故障したというのであれば話は別であるが。

この記事の筆者の文章を読んでいると、機械は故障しないのが当たり前、故障は万に1つもあってはならないという前提で書かれている。しかし、その前提は現実とはかけはなれているのではないか?
もちろん、故障はなるべく少ない方がいいし、メーカーは1年とか3年程度の保証期間を設けている。ただし、「保証」というのは故障しないことを保証しているのではなく、おおむね故障した場合に故障した機械を無償修理または交換することを保証しているに過ぎない。もしこれが本当に故障しないことを保証するのであれば、とてつもない損害賠償請求が要求されるであろうし、逆にいえばどのメーカーも「保証」自体ができないであろう。

この記事の筆者はメーカー公表ベースでの製品不良の多寡を論じているが、それも判断基準として正しいのか。
キヤノンの例で言えば、「5D Mark II」の「撮影した画像に黒点が写り込む」というレベルから「1D Mark III」「1Ds Mark III」の「ミラーの外れ」「AF(オートフォーカス)調整不具合」も同じレベルでカウントしている。
もちろん理想的には不良はゼロが好ましいが、メーカーによっては目立たない製品不良であれば公表せずにこっそりと修理しているのではないか。たとえば、「撮影した画像に黒点が写り込む」というレベルの不良が発見されたとき、こっそり修理するメーカーと、キヤノンのように公表するメーカーとで、どちらがユーザーにとって真摯であろうか?
記事では「2005年以降、キヤノンは一眼レフカメラの新製品を12機種発売しているが、そのうち5機種で製品不良が発生している。品質不良のオンパレードと言っていいだろう(下表参照)。その間、ライバルのニコンでは、製品不良は1機種も公表されていない。製造台数が少ないものの、オリンパス、ソニー(06年に旧ミノルタの事業を買収)などその他の一眼レフメーカーも、製品不良を公表していない。」としているが、公表していないことと実際に不良がないこととはイコールとは言えないと思う。
また、公表している、という点で考えても、アップルがノートパソコンのバッテリートラブルを中心に何度もリコールしているし、ソニーも自社/他社向けノートパソコン用バッテリーの不良で大規模な数量のリコールしたことは記憶に残っている。
アップルの「バッテリー交換とリペアエクステンションプログラム」
ソニーの「パーソナルコンピューター VAIO のバッテリーパック自主交換プログラムについて」
engadget日本版の「ソニーのバッテリーでまたリコール、HP・東芝・デル製ノートPCに搭載」
PC Watchの「ソニー、リチウムイオンバッテリの回収を全世界で実施~VAIOのバッテリもリコールを検討」

私はこれまで自分が購入した機器でいくつも故障を経験している。フィルムカメラ、デジタルカメラ、一眼レフ、コンパクト、パソコン、TVなど多岐にわたる。保証期間内のものもあれば保証期間が過ぎてからのものもある。もちろん、故障の内容、故障した状況によって怒りまくったケースもあるが、保証期間内であれば基本的には交換するか無償修理することで納得するしかないと理解している。なぜなら、すべてのモノはいずれ壊れる(壊れるまでの期間が長いか短いかは別にして)という認識があるからだ。むしろ、故障したときのメーカーの対応こそ重要ではないか。

私はキヤノンの「1Ds Mark III」を所有しているが、これを購入したヨドバシカメラから無償修理の案内の手紙が届き、半分あきれながらも半分メーカーの良心を感じた(発送元はヨドバシカメラであるからヨドバシの良心なのかもしれないが、どうせ送料、手数料はキヤノンに請求されているのであろうし、手紙の内容に関する問い合わせ先はキヤノンのコールセンターになっていた)。私が購入したものに関しては問題なかったようなので、修理には至っていないが。
そういう意味では、製品の不具合を公表するキヤノンの姿勢は良いことだと思う。むしろ、製品不良を隠しておき、修理窓口に来た人だけに対処しているメーカーがあるとしたら、窓口に来ない人をだましていることに他ならない。ネットで個人発信の情報が全世界に広がる現在では、そのような対処をするメーカーは今後ユーザーの支持を得られなくなるだろう。

もうひとつ、この記事で気になるのが、キヤノンとニコンの比較において、キヤノンの利益率がニコンよりも高いのは品質管理に手を抜いているからだ、というニュアンスが読み取れるが、ちょっとその結論を導くには証拠となるものが不足していると思う。品質管理に手を抜けばそのぶん利益率が向上する、ということは言えるかもしれないが、利益率が高いからよそよりも品質管理に手を抜いているとは即断できない。もちろん、筆者はいくつもの現場担当者からのコメントを引き出しているわけであるが、上記結論を出すならば、ニコンをはじめとした他社の状況を調べる必要があるだろうし、あるいは現場を検証する必要があるのではないだろうか? なので、キヤノンの製造関係者からのコメントだけで結論を出す姿勢には大きな疑問を感じざるを得ない。

ただ一方で、個々の取材から得たコメントは重要なことを含んでいるように思う。この記事を機にキヤノンの品質管理が良くなれば、それに越したことはない。もっとも筆者は品質管理ではなく、製造請負の部分にメスを入れたかったのではないかと推測するのであるが。




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