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『スゴい! 行動経済学』(橋本之克/総合法令出版)




『スゴい! 行動経済学』(橋本之克/総合法令出版/1,300円+税)

ヒマにまかせてビジネス書も読んでみました(笑)。

行動経済学は心理学と経済学を合わせた学問。従来の経済学は「人間は理性的に行動する」という前提にしていたが、「実際の人間は不合理な行動もする」というところに着目、研究する学問。

初版は2020年1月となっているので、「サブスクリプション」とか「ソーシャルゲーム」、「ユーチューバー」など、かなり最近の話題も盛り込まれている。

「サンクコスト(回収不可能なこれまでの投資)効果」ではフランスの超音速旅客機コンコルドの失敗やソーシャルゲームにのめり込むユーザーの例を紹介している。一旦投資したら将来の見込みがないとわかりつつもさらに投資し続けるというもの。

「現状維持バイアス」とは、変化を避けて現状を維持しようという心理。
ここでの例としては、サブスクリプションやおつり投資などを紹介。

「アンカリング(船の錨)」では、アメリカ大学生に対するテストで、週刊経済誌『エコノミスト』の年間購読でどれを選ぶかの例を紹介。
A:電子版:59ドル
B:印刷版:125ドル
C:電子版+印刷版:125ドル
結果はA:16%、B:0%、C:84%という結果。
印刷版を買えば電子版が無料となるCがオトクに見える。
ところが、
A:電子版:59ドル
C:電子版+印刷版:125ドル
の2択にすると、A:68%、C:32%と、安い電子版を選択するという結果になったこと。つまり、最初の例でBの選択肢を入れたことで、バイアスがかかったことを意味している。

ワタシが思う「アンカリング」の例としては、アドビ社のサブスクリプションプラン。Photoshop単体プランが1,680円+税(2020年5月8日までのキャンペーン価格)。
そもそも同社はPhotoshopとLightroomのセットで980円+税というフォトプランを提供していて、セット価格が単体片方より安いってどゆこと?(笑)。Photoshop単体プランを契約する御仁を見てみたい。
また、Illustrator単体プランとかInDesign単体プランがそれぞれ1,680円+税なのに、上記を含む20以上のソフトがセット(コンプリートプラン)で3,980円+税(同)という価格設定も同様で、主要ソフト2本の金額で20数本のコンプリートプランとほぼ同額なのだから、大抵の人はコンプリートプランを選ぶだろう。
ただ、ワタシはPhotoshopはほぼ毎日使用するが、Illustratorはあまり使用しないし、古いCS5バージョンで十分なので、コンプリートプランは選択せず、フォトプランを使用している(笑)。

だいぶ脱線してしまったが、似たような例として紹介されているのがカメラを選択するテスト。
A:低品質低価格のカメラ:166ドル
B:中品質中価格のカメラ:239ドル
の2択の場合、選択はA:50%、B:50%となったのだが、さらに
C:高品質高価格のカメラ:466ドル
を選択肢に加えると、A:22%、B:57%、C:21%と、Bに集中したとの結果。人間は中庸な選択肢を選びがちだという。
ただ、この結果は現実と乖離しているのではないか?
いま、166ドルから466ドル相当のカメラというとコンパクトデジタルカメラ(から低価格ミラーレス一眼カメラの型落ちあたり)ということになるだろうが、カメラメーカーがたくさんあり、その中でも色々なバリエーションが発売されているから、単純に3つから選ぶということはあまりない。
また、カメラは嗜好品的な側面もあるので、そもそもテストのアイテムとしてどうなのよと言いたい(笑)。

第3章では、「解釈レベル理論」の例として、住宅ローンの「ゆとりローン」について解説。遠い未来のことはあまり真剣に考えないという心理のことだが、「ゆとりローン」は最初低額返済であるものの、一定期間が過ぎるとだんだん返済額が上がっていくというもの。
日本政府は経済対策として「ゆとりローン」を後押ししたが、それを利用したサラリーマンは後年返済できなくなって、家を失ってしかもローンが残ってしまうという悲惨な末路を紹介。

著者は日本の不動産(住宅)取得事情について、社会の情勢を含めてかなり詳細に解説していて、正直ガックリきた。
つまり、高度経済成長からバブル景気まで、サラリーマンは頑張ればだんだん給料が上がるという見込みができた。土地も資産価値が上がるから土地建物を売ると利益が出る。
・・・ところが、バブル崩壊で右肩上がりの給料はもはや見込めず、ましてや低賃金でいつ切られるかわからない契約社員が家を持つのは夢のまた夢・・・。

さらに「老後資金2000万円問題」も取り上げていて、定年後は悠々自適な生活と思っていたら、資金がなければ自助努力で。ということが明確にされたということ。
そのうえ終身雇用制度も制度疲労を起こしており、そもそも定年まで会社に残れるかさえもわからない時代が来たと。

それぞれ行動経済学を絡めて解説しているのだけれど、読み終わって現代社会の悪い面を突きつけられたところだけが印象に残り、後味がイマイチ(笑)。

文章の流れが、「行動経済学ではこんな研究結果がありますよ。」→「だからこんなケースにはこんな対処ができますね。」という感じなのだけれど、
「こんなケースにはこんな対処ができますよ。」→「行動経済学ではこんな研究結果があるからです。」という流れにした方が読者にとってはより有益だったのでは?








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