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『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎文庫) 





『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎文庫/2017年(文庫2020年)/750円+税)

またまた原田マハもの。一度興味を持ったら深掘りしてしまうのがワタシのクセ。さらに読み出したら一気に読んでしまわないと気が済まないのもワタシのクセ(笑)。
そんなワケで、1日で読んでしまいました。

これは面白かった!

印象派とジャポニスムが台頭した19世紀末のパリでのゴッホと弟のテオ、2人と関係する日本美術商の林忠正とその部下 加納重吉を中心とした物語。

この小説はフィクションなのだけれど、元美術館キュレーターの原田マハが書いただけあって、史実に齟齬はほとんどないらしい。巻末の解説で大阪大学教授・美術史家の圀府寺 司 氏がお墨付きを与えている。
ただ、ゴッホがアルル滞在時にはテオにたくさんの手紙を送っていて細かな事実が確定しているけれど、それ以前にテオと過ごしたパリ時代には資料が少なく、不明な点も多いらしい。

圀府寺氏が言うには、原田マハはまさにその空白部分を利用して、『たゆたえども沈まず』というフィクションを作り上げたのだと言う。
圀府寺氏によれば、ゴッホ、テオ、林忠正は実在の人物だが、加納重吉は架空の人物。また、林とゴッホは同時代に生きていたことは確かで面識があった可能性は否定できないが、本作ではかなり近しい関係として描かれている。
そしてフィクションゆえに大胆に、生き生きと19世紀末のパリで生きる彼らを描いている。

本作で描かれている19世紀末のパリは、ようやく印象派の画家が現れたところで、伝統的な画壇や画廊からは非難されていた。一方、開国した日本からもたらされた浮世絵は流行好きなパリのブルジョワたちにもてはやされていた。そのような状況でゴッホ、テオ、林、加納が出会ってパリの美術界で生きていく様が描かれている。

登場人物の服飾の描写も結構こだわっており、フロックコートや燕尾服、ホワイトタイにシルクハットなど、今では絶滅寸前の服装で当時のパリジャンは街を闊歩していたようだ。

どうしてもゴッホの耳切り事件や、精神疾患、最後にはピストルで自殺するというところが書きしるさざるを得ないので、表現が重たくなってしまうところは致し方ないが、いずれゴッホの絵が世に認められるであろうという雰囲気で上手くまとめられている。






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