『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』2010年03月号
![]() | COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 03月号 [雑誌] (2010/02/10) 不明 商品詳細を見る |
『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』2010年03月号についてレビューを。今回もまた「R+(レビュープラス)」から献本していただいた。感謝。
今回のメインの特集は『オバマ大統領就任から1年 貧困大国(アメリカ)の真実』。ここでは「医療崩壊」「大学教育崩壊」「刑務所ビジネス」を通してアメリカの実態を浮かび上がらせている。
本文に於いてもアメリカの現状を日本の現状の合わせ鏡として見てほしいとしているが、上記3つに関しては今のところ日本はアメリカほどひどくないように感じる。それほどこの特集でレポートされている内容はひどい。読み進むに従い、気分が重くなる。「あの栄華を極めたアメリカが?」という感じであるが、もちろんアメリカのすべての人々が貧困に喘いでいるわけではなく、貧富の差が拡大しているということである。
ただ、日本はアメリカのこのような負の部分を追従しそうなところが感があり、心配になる。
さて、巻頭特集はこんな感じだが、ワタシが一番興味深く読んだのは「史上初! ミシュラン覆面調査員とランチ」。
ミシュランといえば最近、「東京」に続き「京都・大阪」編を発刊して話題になっているが、その評価方法はナゾに包まれている。また、その評価をする調査員がどのような活動をしているかもわからない。この記事ではそれらの疑問をかなり解消してくれる内容。
面白かったのは、調査員が単なるグルメではなく、かなり厳格にその資質を試験され、さらに評価方法の研修も受けているということ。また、かなりのハードスケジュールをこなしながら、給料はあまり良くないとか、仕事の秘密を周りに明かせないといった『ミッション・インポッシブル』のような世界が全く違う分野ながら本当にあることが知れて面白かった。
もちろん、ミシュランを持ち上げるちょうちん記事というわけではなく、さまざまな取材を通してミシュランのいい面、悪い面をレポートしている。
ワタシ的にはこの手の分野が好きな人にはこの記事だけでこの1冊を買う価値があると思った(ワタシは無料で頂戴したけれども、笑)。
料理ネタでいえば、さらに「ボルドー、トゥールーズ 「食べてからのお楽しみ」」。これはよその雑誌の翻訳ではなく、『クーリエ・ジャポン』のライター、カメラマンがフランスまで行って体験したレポート。それぞれ現状のフランス料理をレポートしながら、ボルドーのパートでは小鳥のジビエのくだりによだれが出てしまい、トゥールーズのほうではカスレを詳細にレポート。
ご丁寧に欄外にフランスのレストランガイドを掲載しているが、「そんなところまで行けるか!」と思わずツッコミを入れたくなるものの、世の中には行く人もいるかもしれませんからなぁ(笑)。
ついでに言えば、巻頭特集でも「1日2万人のペースで増え続ける「フードスタンプ」受給者の衝撃」も広い意味での料理ネタかな? そんなわけで、料理好きの方にはこの号はオススメ。立ち読みでも結構だが、『COURRiER Japon』は文字主体なので、読むのに20~30分ぐらいはかかると思うのでご覚悟を(笑)。
もう一つ興味を惹かれたのが「現代アート市場から見る「世界経済」」。ここではサザビー、クリスティーズの2大オークションの違いの説明も含め、現在のアート市場を解説。面白かったのは「「アート」で治安が向上する? メトロポリタン美術館の試み」。これは警察官に作品を見せて言葉で作品を説明させるというプログラムで、受講した警察官は以前に比べて部下への指示の仕方がより具体的になったという。
「佐藤優の国際ニュース解説」。今回は鳩山政権の「対等な日米関係」について。選挙の時の熱狂は冷め、現在は不支持率が支持率を上回っている鳩山政権だが、鳩山首相自身はもともとOR(オペレーションズリサーチ)を専門とする学者で、普天間問題についてもウルトラCの解決をするのではないかという期待を持たせる記事。
森巣博「越境者的ニッポン」。今回は日本における「自殺者」、「変死体」に関する考察。ここでの主張は「予算の関係で自殺や他殺が、自己を除く「自然死」の範疇で括られてしまう?」という疑問。なかなか鋭い視点で面白い。
こんなところが今月号の『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』。いつにも増して、ワタシ的には面白かった。
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ワタシのレビューで応募する方がいるのかどうか分からないが、「ギフト券1,000円分をプレゼント」するという内容なので、このエントリーを読んでいただいた奇特な方は、運試しにこのキャンペーンに応募してみては?
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